外国人雇用に関する情報

外国人雇用に関する情報

- 外国人雇用キーパーソンズボイス⑧ -
この国の形を維持するためにーこれからの外国人雇用の姿

取材協力
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
弁護士 嘉納英樹氏

嘉納英樹氏

今回は、外国人雇用に関する労務の専門家である嘉納英樹弁護士に、コロナ禍以後の外国人雇用について、当ジャーナル編集部との対話形式にてお話をお伺いしました。

<編集部>
外国人雇用において、コロナ禍前と後で変わったことは何かありますか?

<嘉納氏>
2023年4月現在、コロナ禍は収束の途上にあり、完璧にコロナ禍前に戻っているということではありませんが、外国人労働者の働き方は変わってきていると思います。それは、「母国に居ながら日本で仕事をする」ということです。インターネット環境の成熟やオンライン会議システムがかつてなく普及したため、時差の問題は依然としてあるものの、海外におけるテレワークが当たり前のものとなり、これに従事する外国人が増えたのです。ただし、「人自体がそこにいる必要のある仕事」の重要性も変わっておらず、こちらについては、水際対策完全撤廃の今、再び活性化していくと思いますし、活性化しなくてはならないと思います。

<編集部>
日本における外国人労働者の必要性は変わっていないということですね。

<嘉納氏>
2014年に国が出していた将来の推移をみると、現時点で1億2000万人の人口が100年後には3分の1、4,300万人になってしまうようです。当然、国を維持していくことはできず、これを打開する策としては人口を増やすか外国人の方にお越しいただくかの二つです。前者については、あまり期待できそうにないので、外国人の方にはお入りいただいて、何とかこの国の形を維持していただきたいと思います。

<編集部>
やはり外国人の方に長い間日本で働きたい、と思っていただくことが大切なのですね。では、企業が外国人雇用を成功させるポイントは何でしょうか?

<嘉納氏>
短期的に人手が足りないから外国人に頼る、という方針ではうまく行きづらいのではないでしょうか。中長期的に、外国人の人生自体を受け止める覚悟で関係を気づいていく姿勢が必要だと思います。その姿勢があれば、外国人雇用を成功させる確率が高くなります。

<編集部>
そこで大切になるのは、やはり経営者の姿勢なのでしょうか?

<嘉納氏>
そうですね、トップの姿勢及び取締役会の姿勢が大切になってくると思います。そしてもちろん、周りの日本人社員が外国人の方を受け止める覚悟をすることが必要です。しかし、外国人を本気で受け止めることには大変な労力が求められます。私の肌感覚ですが、1人の外国人を雇うことについては、日本人3人から4人分雇うだけの労力がかかるように感じます。その外国人に対する教育もありますし、その周りの従業員への教育もありますし。教育内容に、仕事内容はもちろん、語学や日本の文化風習といったものもあります。しかし、それだけの時間と労力を注げば、周りの日本人社員の意識も変わり、外国人雇用を成功に導く土壌も出来上がってくるのです。

<編集部>
最後に、これから外国人雇用に取り組む企業へアドバイスをいただけますでしょうか?

<嘉納氏>
外国人の方も、ある企業に就職したら、ある程度は長く働きたいと考えていると思います。そのような思いに応えるべく、心をつかむ必要があると思います。外国人労働者にとって、魅力的な企業であることが大切です。そのためには、相手の国の言葉や文化を知り、中長期的な関係を築いていくという姿勢が必要なのではないでしょうか。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

所在地:東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
HP:https://www.amt-law.com/
嘉納弁護士の取扱分野

I. ビジネスと人権、人権デューデリジェンス、企業・会社を500年継続させるための制度構築・教育

II. 団体的労使関係(対労働組合団体交渉、争議行為・情報宣伝活動への対処など)

III. 個別的労使関係(人員削減、解雇・合意退職、給与・賞与・退職金制度の構築、賃金削減関係、時間外労働手当不払への対処、ワークシェアリング、パートタイム労働者関係、有期労働契約関係、高年齢者雇用関係、障害者雇用関係、外国人雇用関係(査証、在留資格、再入国許可、在留期間更新など)、テレワーク(WFH)、懲戒処分、転勤・出向・転籍、労働者と個人事業主やコンサルタントやフリーランスとの相違、労働者派遣と業務委託・請負との相違、職業安定法・労働施策総合推進法、成果主義対応、兼業・副業、求職者紹介制度(社員紹介制度)、求職者選別のための視点、妊娠差別(マタハラ)、育児休業関係、次世代育成支援関係、女性活躍推進関係、セクシュアルハラスメント、いじめ(パワハラ)、メンタルヘルス悪化労働者の取扱、労働安全衛生、労働契約書作成、就業規則作成・改正、人事評価制度構築、福利厚生制度構築、取締役との委任契約関係、競業避止、引抜禁止、会社秘密情報の従業員による侵害の防止、従業員個人情報の保護・移転、従業員作成物(職務発明、職務著作など)の権利帰属、内部告発や公益通報など)

IV. 「社外にいる社員」=下請企業・業務受託者 関係(下請法・消費税転嫁対策特別措置法など)

V. 企業犯罪・企業不祥事、企業内部調査、危機管理、公務員倫理規程、FCPA、輸出管理規制

VI. 労働保険・社会保険・年金関係(労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、確定拠出年金、確定給付企業年金など)

VII. 紛争関係(労働審判、労働訴訟、個別労働紛争助言指導斡旋、不当労働行為救済手続、労働保険社会保険不服審査、都道府県労働局や労働基準監督署や公共職業安定所などの役所との接衝など)