外国人雇用に関する情報

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- 外国人雇用キーパーソンズボイス -
心を慮ること-それが外国人雇用の成功の全て

アンダーソン・毛利・友常法律事務所
弁護士 嘉納英樹氏


70年に及ぶ外国人雇用支援の歴史と共に
当事務所はもともと米国人弁護士が1952年に設立したということもあり、かれこれ70年くらいこの業務に携わってきたという歴史があります。なお、ビザ・在留資格申請業務等は行政書士の先生にお任せし、私は人事労務管理の観点から企業の外国人雇用をお手伝いさせていただいております。業務には大きく分けて2種類、外国人雇用に関するトラブルがあってから介入するものと、これから外国人雇用を始める企業への支援とがあります。
取締役が全員一致で、企業としての外国人雇用の目的・意義を明確に決めることが大切
外国人雇用に初めて取り組む際のポイントとして最も大切なことは、既にいろいろなところで言われていると思いますが、「外国人雇用について、何のために外国人を雇うのか、会社が会社として明確な目的・意義を決め、覚悟する」ということです。「当社の目的は「短期の利益獲得」ではなく「長期の存続」であるが、日本の人口が1億2000万人から4000万人強に減るこれから、当社を100年間存続させるために、xxxxxの國の企業とxxxxxxという形での提携をすべしと考える。ついては、xxxxxの國の外国人は不可欠の存在だと位置付ける」等、必要性(「有用性」を超えて)を意識しコミットをするのです。「今は人手が足りないから、とりあえず安価な労働力を採用しよう」ではいけません。というのは、これでは、そのように採用した人材に時間と費用を投資して日本文化や言葉を教えようとは思いませんから。外国人社員を定着させるには手間をかけることが不可欠です。だからこそ、はじめに目的・意義を決めて、覚悟してこれからの取り組みの原動力とするのです。そして、この目的・意義を取締役全員が一致して納得しコミットすることです。つまり、このための覚悟を、取締役ひとりひとりがシェアをして、企業として決してぶれないようにしておかなければなりません。

ミスマッチングを防ぐ---- 面談における説明や質問
外国人求職者には、採用前に労働条件、職務内容、福利厚生、昇進可能性を、説明資料明等を用いてしっかりと説明しておくようにします。ミスマッチングの危険を最小限にするためです。残業の可能性や、雑用のような仕事も存在するのであれば、これらも説明しておきましょう。給与から税金や保険料が引かれることは、お伝えください。資格取得のための費用負担等の制度は外国人求職者を魅きつける要素となり得ます。ところで、どうして当社に採用されたいのか、外国人求職者に詳しく尋ねていただけますか。どの企業でも通用するような動機ではなく、「他社ではなくて、当社でなければならない」という熱意を、ぜひ説明してもらってください。この際に、「家が近いから」「福利厚生が行き届いているから」等、自分にとっての利益を主として押し出すようであれば、マッチングが難しいかもしれません。ききたいのは、「あなたが当社に入ったら、当社にとってどのような良いことがあるのか」のはずですので。前職があるなら離職の具体的な理由をきくのも重要です。

外国人社員定着に必要な「相互リスペクト」
人事労務の世界では、「人の心をどう扱うか」ということが非常に大きなテーマです。その観点から、日本人としてまたは雇い主として、決して高圧的にまたは偉そうにふるまってはいけません。また、覚悟を決めているなら、外国人社員の母国のことを勉強しなければ、となるはずです。言語、歴史、地理、宗教、風習、はどのようなものか。食べ物やアルコールや祝祭日も非常に重要です。一方、外国人社員には、日本語、日本の文化・風習(挨拶等の礼儀など)、地理(職場および自宅の近くの、または主要な駅やバス停やその周辺の)、乗り物の乗り方、簡単な決まり(夜遅くまで騒がないこと、ゴミ出しのルール、自転車二人乗りをしないこと、保険証の使いまわしはダメ、など)を勉強してもらいます。外国人社員が定着するためにも、雇う側と雇われる側の「相互リスペクト」が必要なのです。

外国人雇用に関するリスクを知り、予防的に備える
安衛法上の定期健康診断を拒否する外国人労働者は少なくありません。ぜひ、その必要性をきちんと説明してください。また、言葉が通じない等々の理由から孤立して、または日常生活の過程で人種差別にあい、アルコール過剰摂取をしたり精神疾患になったり自殺をされたりする外国人社員の方もおられます。したがって、銀行口座や携帯電話の開設手伝、週一回や月一回で(栄養ある)食事を外国人社員と一緒に食べる等のフォローも有用です。更に、工場において日本語の「危険」という表示が読めず、怪我をしてしまったという事例も少なからずあります。図の利用など、外国人雇用には、最大限想像力を働かせて、リスクに予防的に対処していくことが必要だと考えられます。
団体名:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
所在地:東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
HP:https://www.amt-law.com/